知っておきたいアスペルガー症候群の基礎知識


アスペルガー症候群は、発達障害のひとつであり、対人コミュニケーション能力や社会性、想像力に障害があり、対人関係がうまくいかない障害です。

従来は知的障害や言葉の発達の遅れが伴わないものを、アスペルガー症候群としてきましたが、現在は自閉症スペクトラム障害と診断されます。

障害だと気付かれず、本人が生きづらさに苦しんでいたり、周囲からの理解が得れずに困っている方が多くいました。

アスペルガー症候群は一般的に、ASと略されます。


原因

1,000人に数名、あるいは4,000人に1人の割合で発症すると言われています。この数値は統計方法によって変化します。

結論から言えば、アスペルガー症候群がなぜ起きるのか。その発症メカニズムはいまだ解明されていません。

それでも幾つかの原因と思われる要素はあります。

例えば、胎児期に男性ホルモンを大量に浴びると、自閉症傾向になりやすいことが指摘されています。この場合は農薬やダイオキシンの環境ホルモンが影響しています。

また、鉛のような重金属が口内摂取により母体に取り込まれると、胎児が自閉症傾向になるとも言われます。自閉症傾向の児童の毛髪に重金属が多く含まれることが根拠としてあげられます。

親との対話が少ない環境であったり、幼稚園や小学校、中学校の各段階で他者とのコミュニケーションが不足した環境であった場合には、人と共感が難しかったり社会性が育たなかったりすると言われています。

アスペルガー症候群と『三つ組』の障害

アスペルガー症候群は三つ組の障害があると言われます。

1つ目は、表面上は問題なく会話できるが、会話の裏側や行間を読めない。
直接的な言葉でなければ、言葉を言葉通りの意味で捉えてしまう傾向があります。

そのためコミュニケーションに苦しんでいる人が多いです。
例えばアイコンタクトや表情から何かを読み取ることは苦手。言葉遣いも遠回しな表現は使えないため、ストレートなキツイ発言と捉えられることもあります。

2つ目は、対人関係です。場の空気を読むことが苦手で、相手の気持に共感したり、寄り添った言動ができません。社会的なルールやその場の雰囲気に合わない言動になります。
その結果、集団の中では浮いた発言と捉えられることが多いです。

上の2つとは、すこし違った要因が3つ目です。

一旦興味を持った対象に対して、過剰なほどに熱中します。
法則性や規則性のあるものを好み、こだわりを発揮します。
自分の中にルールがあり、そうした法則や規則が崩れることは多大なストレスになります。

しかし、そうした規則性や法則を整備した環境では高い集中力を発揮することができます。

これらが、三つ組と呼ばれるアスペルガー症候群の特徴です。

アスペルガー症候群と自閉症スペクトラムとADHD

アスペルガー症候群は医学的には自閉症スペクトラムと呼ばれます。

IQが正常域であり、知的障害がないケースにアスペルガー症候群と診断されてきた経緯があります。

知的障害を伴う場合は、カナー症候群と呼ばれます。あるいは、高機能自閉症と診断されたこともあります。

ただ、アスペルガー症候群もカナー症候群も、高機能自閉症も、自閉症スペクトラムのひとつであり、発達障害のひとつです。

注意欠如多動性障害。ADHDと呼ばれる発達障害のひとつです。「不注意」「多動性」「衝動性」の3つが特徴としてあげられます。

アスペルガー症候群の発症者には、ADHDの症状が重なっていることもあります。

アスペルガー症候群の他の特徴

テレビ番組をコピーするような、モノマネが得意。ごっこ遊びとは違い、持ち前の記憶力と反復するこだわりを発揮させることが特徴です。逆に、ごっこ遊びのような、自分の言動を柔軟に変化させる遊びは苦手です。

このような場合には「ルールを決める」「曖昧な表現を使わない」ということが必要です。
仕事や、遊びの中でもしっかりとルールを定め、曖昧な表現を具体的にすることで力を発揮することが可能だからです。

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