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みなさん「障害年金」をご存知ですか?
老齢年金はご存知の方が多いですが、
この障害年金に関しては”馴染みのない方”、”聞いたことはあるがどういった制度か分からない”
という方が多いように感じます。
ここでは障害年金の制度がどのようなものなのか説明致します。

   

障害年金とは

障害年金は老齢年金や遺族年金と並ぶ公的年金の一種で、厚生年金・国民年金・(旧)共済年金の全てに備わっています。

年金と聞くと老後の生活を支える「老齢年金」のイメージが大きいと思いますが、
不慮のケガや病気によって精神・身体に障害が生じて日常生活を送るのが困難になった場合に、障害によって生活の安定が損なわれないように生活を支えるものとして支払われる、いわば若年層(現役世代)のための年金がこれにあたります。

※(旧)共済年金は2015年10月より厚生年金に一元化されており、以後厚生年金と表記する。

 

障害年金の受給要件は?

年金制度に加入していて、一定の保険料を納めていれば保障を受けられる制度ですが、
保障を受けるには以下の受給要件を満たす必要があります。

(1)年金に加入しており、その期間内に初診日があること(●制度加入要件、●初診日要件)
初診日(障害の原因となる病気やケガについて初めて医師の診察を受けた日)に、国民年金・厚生年金のいずれかに加入していることが必要です。
また、年齢等の状況により年金制度に加入していない場合にも、以下の様な特例措置が設けられています。

※先天性の障害または20歳より前(被保険者となる前)に生じた障害が成人以降も続いている場合には、
初診日が20歳未満でも支給の対象になることがあります。
※60歳以上65歳未満(年金に加入していない期間)の間に初診日がある場合にも、支給の対象となる事があります

(2)年金保険料を一定量納めていること(●保険料納付要件)
初診日前日において、初診日が属する月の前々月までの年金加入期間のうち3分の2以上の期間について保険料が納付または免除されていることが要件の一つとなります。
また、上記以外の場合の特例措置として、初診日月の直近1年間に保険料の未納期間が無い事、という要件が設けられています。
(※いずれかの要件を満たす必要があります)

(3)一定の障害の状態にあること(●障害要件:障害等級に該当すること)
全ての障害が障害年金の対象というわけではなく、国が定めた基準に相当する障害がある場合に支給の対象となります。
障害の程度により、重い状態から1級・2級・3級までの障害等級が定められており、この等級に基づいて年金額が決められています。
障害認定日と呼ばれる日に、このいずれかの障害等級に該当することが要件の一つとなります。

障害の認定日について

障害年金を受給する際には、いつから障害状態であると認定されるかが重要です。
この障害状態を認定する日を障害認定日と言い、初診日から1年6カ月経過した日を言います。
また、1年6カ月以内にその傷病が治った(症状が固定した場合)はその日、とされています。

障害年金における等級の決定は、初診日ではなくこの障害認定日の状態によって判断されるということを覚えておきましょう。
また、障害年金の申請は、この障害認定日を過ぎてからでなければ行えないので注意しましょう

 
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障害年金の種類

このように障害年金を受けられるのは、公的年金に加入して一定の保険料納付要件を満たし、一定の障害の状態を有する方に限られます。
障害年金は「障害基礎年金」「障害厚生年金」から成り、どの年金制度に加入していたかにより、受給する障害年金の種類が異なります。
国民年金の被保険者は障害基礎年金、厚生年金の被保険者には障害厚生年金が支給されます。

障害年金が支給される等級は障害基礎年金と障害厚生年金によって異なり、
障害基礎年金は障害等級が1~2級に該当する方、障害厚生年金は1~3級に該当する方に支給されることになっています。
また、厚生年金の被保険者は自動的に国民年金の被保険者にもなるので、障害等級が1級または2級の場合は、障害基礎年金に併せて障害厚生年金が支給されます。

さらに、障害厚生年金には3級よりも障害の程度が軽い状態の方に、障害手当金と呼ばれる一時金が支給される場合もあります。

 

障害等級について

障害の程度は障害等級により定められ、この等級によって障害年金の支給額が決定されます。
以下は基本的な障害認定の基準であり、身体の部位や疾患の種類ごとにさらに細かく障害等級とその認定基準が定められているので注意しましょう。

【1級】:国民年金・厚生年金の加入者が支給の対象となります
身体機能の障害または長期にわたる安静を必要とする症状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度
→具体的には、「他人の介助が無ければ日常生活の事がほとんど出来ない状態、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方。」とされています。

【2級】:国民年金・厚生年金の加入者が支給の対象となります
身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加える事を必要とする程度
→具体的には、「必ずしも他人の力を借りる必要は無いが、日常生活は極めて困難で労働による収入を得ることが出来ない程度、活動の範囲が病院や家屋内に限られるような方」とされています。

【3級】:厚生年金の加入者が支給の対象となります(※国民年金の場合は支給対象外)
傷病が治らないで労働が制限を受けるか、または労働に制限を加える事を必要とする程度
→具体的には、労働が著しい制限を受けるまたは労働に制限を加える事を必要とするような状態、日常生活にはほぼ支障が無いが労働については制限がある方」とされています。

【障害手当金】:厚生年金の加入者が対象となる(※国民年金の場合は支給対象外)
対象は、傷病が治った(症状が固定した)もので、労働が制限を受けるか、労働に制限を加えることを必要とする程度(3級に満たない程度)のものとされています。
※障害手当金は初診日から5年経過するまでの傷病の治った日に、定められる症状に該当すれば受給が可能です。
年金という形で支給されるのではなく、障害が認定された段階での一度だけの支給となります。

詳しくはお住いの自治体の市役所/年金事務所にご相談ください。