うつ病と間違われやすい双極性障害、その治療は単極性のうつ病より難しく、さらに長期化する傾向にあります。治療には、本人が病気への理解を深めるだけでなく周囲の人の協力が不可欠であると言えます。気長に治療を続ければ、快方に向かうことが多いと言われる双極性障害の治療について見ていきましょう。

双極性障害の治療が長期化しやすいとい言われる理由

まず、第一に診断がつきにくいということが原因の一つとして考えられています。双極性障害の患者の多くは、躁状態を経験してもそれが病気であるという自覚が無いことが多い為、医師に症状が正しく伝わりにくいという側面があります。そして多くの人がうつ状態の時に受診することから、双極性障害は見逃されやすく「うつ病」と診断されてしまう場合があるのです。また、その他の理由として薬の効果が現れるまでに時間がかかることや、症状が落ち着いている時には服薬の必要性を感じにくい事などから、自己判断で服薬をやめてしまうことが多いというのも原因の一つになっているようです。



治療の基本は薬物療法と心理療法の2本柱!!

気分安定薬を主体とした薬物療法が基本となります。単極性うつ病の場合は抗うつ薬を用いてうつ症状に対して治療を行いますが、双極性障害の場合にはうつ症状と躁症状を繰り返すといった「気分の波」が問題となることから、気分安定薬を用いてまずはこの乱れた波を安定させるということが治療の第一目標となるのです。また、症状が落ち着いている時にも服薬を続けるということがとても重要です。双極性障害における薬物治療では、躁状態やうつ状態を改善するだけでなく、症状を長期的に安定させて再発を防止するという役割もあります。病気の特徴として、治療せずに放置したり途中で服薬を辞めてしまうと再発を繰り返すことがあるため、自己判断で辞めずに医師と相談しながら長期間にわたって服薬を継続していくことが大切です。

もう一つ、薬物療法と合わせて行う心理療法も重要な治療の一つです。さまざまな方法がありますが、医師と治療を行う中で患者自身が「自分の問題に気付くこと」が治療の第一歩となります。正しく病気を理解することで、病気による偏った物事の捉え方や考え方を見つめ直し、適正な方へコントロールしていくといった方法があります。自身では気付きにくいこの認知の偏りを、患者が主体的に気付けるように援助するといった治療であり、時間がかかることが多いと言われています。具体的な方法としては、まずは自身が陥りがちな思考パターンを知ることから始めていきます。長年の物事に対する捉え方や考え方を変えるのは容易ではありませんが、何通りもの考え方がある中で自分が限られた範囲に拘っているということを知り、そして理解することは、新しい自分に出会うための大きな一歩と言えるでしょう。